White Rose Ultra レースレポ

トレイルレース・ウルトラマラソントレイルラン

ヨークシャーのリーズ(Leeds)郊外で行われたWhite Rose Ultra(白ばらウルトラ)、60マイル、100キロの部を無事完走してきました。

マニアックなレースなのでそれなりの猛者が出るはずなんですが、心を打ち砕くコースと悲惨な天候で制限時間16時間内の完走率は41%。

地味につらくていやらしいコース設定なので苦行ファンには間違いなくおすすめ、「つらかった自慢」のできるレースです。来年も行きたいですね。

とりあえず結果レポ

コース内容に入る前に簡単にレースレポ。天候もまあまあ、路面もマアマアな1周目は苦労しつつも平均7.6㎞/hで6時間半。夜になって雪交じりの風雨、泥んこ競争と化した2周目は平均6.5km/h で8時間半で完走。

1周目の最初は緩やかな登り、緩やかな下りでこれなら5時間で行けるなと甘いことを考えていたのですがそこはトレイル。コースの難易度が後半に増して6時間半。それでも2周目の初めは次も7時間あれば戻ってこれて全行程13時間半だなと考えていいました。

全てが変わったのは日没直前から降り始めた雪交じりの雨。元々軟らかいトレイルが一気に足ズボ系に、そして下りは草木に捕まらないとソリ滑り状態に。

辛かった分、今は完走できて幸せ。

そもそもどんなレースですか

ばら戦争で有名なヨーク家の紋章白ばらにちなんでつけられた名前のとおり、ヨークシャーの丘陵地帯を走るレースです。マーズデン駅からスタートして一周30マイル(48キロ)を二周する60マイルの部に今回は参加。3周しておまけの10マイルを走ると100マイルの部になります。

ITRAポイント(UTMBポイント)は60マイルの部が4ポイント、100マイルの部が6ポイント。知る限りでほかのレースと比べると難易度の割にポイント効率は悪いです。9月に走った50マイルのロンドン郊外のレースが同じ4ポイントとは思えないですね。でもこちらがイギリスのトレイルの本家的なコース設定。

難易度の差をタイムでいうとロンドン郊外の方のタイムは10時間半、今回はほぼ15時間。距離の差は16キロなのに4時間半も差が出ています。

ITRAポイントを取るという観点からはおすすめではないですが、これぞイギリスのトレイルというレースです。実際、よいトレーニングになるし、完走した充実感は何とも言えないものがあります。

完走者がほとんどいないテネシー州の伝説のウルトラマラソン「バークレーマラソン」で最初の完走者がイギリス人だったというのもイギリスのトレイルを走っていると感覚的に納得できます。だって概して悲惨だもの。

コースの内容

コースは比較的ロードが多いものの、トレイルの部分は牧草地、グラベルといずれも充実。

GPXマップを見てもわかるように最初に下の方の丘陵地帯へ向けて一本調子で登り、そこを下ってくるわけですがこの辺りは正直なんてことはないです。一本調子なのでいずれもやや緩やか、しかも登りは穏やかなトレッキングコースですし、下りはロード。いずれも走りやすい。

Total distance: 48832 m
Total climbing: 1254 m

問題は丘陵地帯を抜けた後。このあたりから牧草地を抜けることが多くなり、しかも急峻な登りと下りが入ってます。牧草地は泥濘んでいて足をズボっととられてシューズがすっぽ抜けます。

今回は日中は風が冷たい程度だったのですが夜から雪交じりの風雨が吹き付けるようになりました。暗闇のなかで泥の中から靴を取り出してかじかむ手で紐を結びなおす、まあまあ地獄です。

当然下りは最低最悪のスリッピーロード。今回はアルトラのローンピーク3.5で臨んだものの、グリップが全く足りない。あれは「ザ・イギリスのトレイル」にはやや難がありますね。これは今後の要検討課題。

心を鍛えられるレース

友人いわく「完走率が低い理由の一つに周回コースというのがある」と事前に聞いていました。実際、その通り。30マイルごとにレース本部に戻る機会がある、つまりリタイアしやすい環境に遭遇することになります。

しかも周回が終わる最後の5マイルが実に悲惨な下り、実に嫌なコース設定。1周してレース本部でほっこりしたときに「また寒空の中を戻ってあれをもう一回やるのか」と思うとやる気がなくなって当たり前。

それにそもそも参加者が少ないので伴走者もいません。「寒空の中、暗闇のなかを一人でポツポツと足を運ぶ」だったらできるかもしれないけど、「靴を泥から引っこ抜きながらヨロヨロと行く」、そしてたまに「破滅的に転んで全身泥だらけになる」だと心は折れます。しかもレース本部にシャワーなし。

でも帰りの電車の中のやや冷たい視線も含め全行程がメンタルのトレーニングには最高。次の日の靴洗いは最高にブルーになりますがそれもレース体験(終わったから気楽に言ってます)。

つらいと言われても実際どの程度なの

9月の50マイルのレースでは翌日はマイルドな筋肉痛があるのみで全く問題なし。翌日にハーフぐらいならたぶん走れました。今回はゴールからほぼ丸一日たった今でも足はパンパンに浮腫んでいて筋肉痛もヤバいです。

階段は這うようにして上がり、下りは手すりにつかまって腕の力でおりるイメージ。ぎこちなくロボットのように歩き、ちょっとバランスを崩したら情けなく転びます(というかヨロヨロっと崩れ落ちる感じ)。

今回一番役立ったもの

ハンドトーチ、懐中電灯です。夜間のトレイルレースの経験が多い人には当たり前のことかもしれませんが、ニワカな僕にはやや意外な発見でした。ヘッドランプ・ヘッドトーチは足元を照らすには良いんですが遠くを広く照らすには光量不足なんです。

周回コースなので昼間に走ったコースと同じところを夜間も行くんですが同じコースでも昼と夜とでは見え方が違います。ハンドトーチがなければコースのマーキングを見落とした可能性もありました。レース終盤、ただでさえ最悪に疲れているところでコース間違いで右往左往する労力は考えたくない。

それに暗闇の中で視野が広いと心理的な安心感があります。人類はそもそも夜行性ではないので暗闇での行動能力はそんなに高くないんですよ、きっと。強力なハンドトーチは不安感の解消に貢献するはずです。

使用したのはLifesystems社のIntensity220。これはイギリスの高校生向けのトレッキングプログラム Duke of Edinburgh Award(エジンバラ公爵プログラム)が推奨するギアで信頼性が高いと思います。なお、ヘッドランプはブラックダイアモンドを使用。

Lifesystems社のIntensity220は日本でも数千円の前半で買えるはずです

写真で振り返る

レース中は夜間は激ショボのGopro Hero3のみなので夜の写真はありません。もっとも夜は写真とってもつまらないし、そもそも気持ち的にそんな余裕はなかったです。ですので写真も気分がアゲアゲの時、コース(レース)のうち良いところだけです。

レース本部のStandedge Tunnel and Visitor Centre。シャワーがない以外は寝袋を広げるスペースもあり、食事も24時間対応で充実。
レース最初の5キロ地点。天気はイマイチなもののトレイルはまあまあ。緩やかに標高差260メートルくらいを登ります。

この後に続くロードの下りも緩やかなので苦になりません。

牧草地のコースも朝方の雨で泥濘んでいるものの1周目はまだ我慢できるレベル。ちょっと苦労したものの、辛いという程ではなかったです。
周回コース最終盤の上り。写真の見た目より実際は急ですが1周目の時は滑ることもなく上がれました。上がった分、下りもあるんですけどね。2周目はどちらもソリ滑り状態。
2周目序盤3キロ地点。マーズデンは鉄鋼の町なので産業革命を支えたイングランド北部の工業地帯 “Industrial North”の雰囲気が今も残ります。このまま丘を登ったあと、下って煙突のある建物の脇を通って奥の貯水池のほうへ抜けます。
2週目のこの辺りから陽も沈み、雰囲気が怪しくなってきます。この後、雪まじりのものすごい風雨に。のどかな牧草地コースは泥んこ競争に。しかも暗闇のなかで一人泥んこ遊び。舌打ちしようにもその気力もない感じになります。

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