バイオハッキング | 国防総省のケトン体研究をひも解く

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先日のHVMN社(ヒューマン社)のケトン体エステル・ドリンクはアメリカの防衛関連の予算を受けた研究をもとに開発しているということでした。

であれば、ここで一発、国防総省の生理学・生物学分野の研究実績を紐解いてみるのも面白いかなと思って今日の記事です。

バイオハッキング、生体工学は現代の兵士養成にとっては極めて重要な研究テーマのはずです。

やはり、持久力に優れていて、疲労を感じにくい兵士、まさにゴルゴ13の世界。

ちょっとその前に(後日補記)

内容が派手なので、そちらにばかりキャリーアウェーされてしまいがちなので、糖質制限のメリットなどをいまいちど冷静に見ておくのは大事。

じゃないと「おお、すごい!」で終わりになってしまいますからね。

最近は当ブログのメインのトピックのウルトラトレイルマラソンではなくて、糖質制限だけで読んでいただく方も多くなりました。

そこでおすすめしたいのがこちらの記事。

さて、話を戻します。

DARPA 国防先端研究計画局

研究内容を探し出すためのお目当ての部局は国防先端研究計画局Defence Advanced Research Project Agency(通称ダルパ)、アメリカ国防総省の研究部局です。

DARPAの設立は1957年のある事件に遡ります。それは旧ソビエト連邦が1957年に実施した人類発の有人宇宙飛行スプートニク計画。

これは仮想敵国に科学技術でリードを許した、アメリカにとって衝撃的な「事件」でした。このことはホームページにも明記されています。

a commitment by the United States that, from that time forward, it would be the initiator and not the victim of strategic technological surprises

スプートニクのようなサプライズを受ける側ではなく、戦略的技術革新の発信者であるためにアメリカ合衆国はDARPAを設立した

アメリカ人、決めたらやり遂げる推進力はすごいです。実際、DARPAは革新的な軍事技術とその民間転用の発信地となります。

例えばインターネットの原型は核攻撃を受けた際にも機能するようにDARPAが作った通信網ARPANET(アルパネット)ですし、パケット通信というコンセプトもここで生まれています。それから、ランナーにとって欠かせないGPSもDARPAが開発して民間転用したものです。

なお、ランニングウォッチのGarminはGPSのほかにGLONASという衛星電波も捉えるようになっていますが、こちらはロシア版GPS。ミサイルの誘導に使うのでそれぞれ独自のものが必要だったんでしょうね。

WWW.DARPA.MILというウエブサイトもあります。ジェネリックトップレベルドメインはCOMではなくて軍事機関を表すMIL(ミリタリー)なんですね。

サイト内検索の仕方

DARPAのサイトには検索窓がありますので、それを利用するのも良いのですが、もっときれいに検索するにはグーグルサイト検索が便利。

サイト検索はSite:というコードに続けてURLを挿入、スペースを空けて検索したいキーワードを””で囲んで入れればOK。今回はKetone(ケトン体)と入れてみます。

結果、予算案が一つひっかかりました。

念のため国防総省のウエブサイトdod.milにも検索をかけてみましたが、こちらは特段なにも引っかからず。

ケトン体の研究に10年前から予算がついていました

実はもっと多く引っかかるのではないかと思っていたので1件のみというのはやや意外感があります。

議会の予算委員会を通す都合上、予算案は基本的に機密指定外の公開情報だと思っていましたので、もっとザクザクと出てくるかと期待していたんですけどね。それに出てきたのも10年前のもの1件のみ。

最近の栄養学の動向を考えれば、その後も予算は付いているのではないかと推測しますが、もしかしたら「10年間の機密指定ルール」みたいなものがあって、最近の研究・予算配分はまだ公表されていないののかもしれないです。

何と言っても軍事研究ですから仕方ない。

機密指定外になった予算案をひっくり返してマラソンに活きる要素があるか見ていきましょう

国防総省 国防先端研究計画局 2009年度予算案 機密指定解除 一般公開承認済 再配布制限なし

予算案の目次には情報通信技術などの項目がずらっと並びます。分類から考えて、上から4つ目の「素材・生物学テクノロジー」にケトン体研究が含まれているはずです。

目を見張るのは2007年-2009年当時から既にCognitive Computing(認知・学習コンピュータ、要は今はやりのAIです)、ターミネーターの世界に予算がついていることですね。さすがはインターネットの生みの親。

ありました。これです。

「極限の環境下で、兵士が運動能力・認知能力のピークパフォーマンスを維持するために、生理学・生物学的ブレークスルーを発見するための研究」、これですね。

Maintaining Combat Performance(戦闘能力の維持)のためのケトン体研究

この項目に含まれるというだけで、ケトン体・ケトジェニックダイエットがマラソンや持久力、有酸素運動能力の向上に貢献するということを、半ば証明したも同然ではないでしょうか。

各年度の研究内容は以下の通りです。

Demonstrated a novel ketone-based fat sabstitute dietary that prevents fatigue in experimental models
2007年の研究成果としてケトン体ベースの脂質代替食品が疲労を防ぐ効果があることを実験モデルで実証した

この成果をもとに2008年度の研究では導入可能なケトジェニックダイエットの確立とともに、ケトン体の毒物学的評価や人体の耐性を検証しようとしていたことが予算案から見て取れます。

ケトン体の兵士への応用可能性を探ろうとしていたんでしょうね。

Toxicology evaluation of ketone-based dietary fat sabstitute / Develop a human formulation of ketone-based diet and demonstrate telerability in humans

そして2008年年初時点ですでに2009年度の研究目標として、さらにもう一歩進んで、実際にケトン体サプリを開発、これが運動能力向上に効果があることの実証を目指しています。

このことから、2007年からの3か年にわたる当初の研究計画のうち、すでに最初の1年で一定の成果が出ていたことが分かります。

Demonstrate performance benefits of ketone-based supplement in humans

研究の進み方をタイトルから推測すると、それなりに成果があったように見えるので、ケトン体というのはまあ持久運動にはそこそこ使える感じなんでしょう。